【薬の問題から介護を考える】


現場で介護をしていると、必ずといっていいほど認知症の人に会うこととなります。

ケアをしていて、どうしても上手くいかなくて行き詰まったことはないでしょうか?

現場の介護職がなかなか分からない「薬」に関して、介護職にもおすすめの本を用い、ケアの解を探していければと思います。

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画像引用【写真AC

皆さんは、薬についてどのくらいご存知でしょうか? おそらく、現場のOJTで学び、学校や研修で、体系的に学んだことはほとんどないかと思います。 今回、ご紹介する本はこちらになります。

 

 

著者の高瀬先生は、大田区で在宅医療を中心とした「たかせクリニック」で、認知症患者の診断・治療あたっています。

以前、たかせクリニックの勉強会に参加させて頂きました。 高瀬先生は認知症の患者さんにとても好かれるようですが、とても気さくな方で、職場の方や飲み屋の人や地域の人からも愛されていました。

私がイメージする病院の医者の姿とは離れていて、患者さんと距離の近い何でも話を聞いてくれるような優しい方でした。

著書では、薬の「多剤併用」に関して問題提起されています。 多剤併用(ポリファーマシー)とは、様々な疾患を抱えた患者が、多くの薬を処方されることで、薬の悪い影響を受けてしまうことです。

認知症の患者さんは、薬の管理がしっかりと出来ず、様々な疾患を抱え、複数の診療科から薬を処方されることがあります。

持病が多い方ですと、20種類以上の薬にもなってしまうようです。 本人に過剰に処方した薬は、本人に服用することの負担を強いるばかりでなく、周辺症状(BPSD)の悪化の原因ともなります。

・暴力をふるう ・暴言を吐く ・徘徊が増える など、介護者がどうすることも出来ないような様々なBPSDの原因にもなっています。

高瀬先生は、高齢者が影響を受けやすい多剤併用による症状を薬と本人の状況から考え、薬の調整(減薬など)や介護者や多職種との細かな連携で、本人のQOLを高めています。

BPSDをコントロールすることで、介護者の負担は減り、在宅生活が継続できます。 高瀬先生は、「薬1.5割、ケア8.5割」と提唱しています。

 

私もこの考えに同意していますが、本人の環境次第でBPSDは大きく変わります。 介護職の誤った対応で、いわゆる「不穏」にさせてしまったことはあるかと思います。

では、本人が安心して暮らす・QOLを高めるために、「薬とケア」を介護職としてどうするべきでしょうか?

①薬の処方が適切か、薬の悪影響がないか疑う

医師は介護職と違って、本人と関わる時間が少なく本人の変化に気づきにくいので、飲み始めの変化など、介護者と協力してすすめるといいでしょう。

多剤併用の影響の可能性があれば、介護者やケアマネと相談し、きちんとした診断・処方の出来る医師や薬剤師に繋げるのもいいかと思います。

②薬の飲み忘れがないか確認する

 

医師の指示に従って、きちんとした薬を飲むことが出来ているかどうか確認しましょう。

75歳以上で在宅で生活する高齢者の飲み残しの残薬は総額500億円以上にのぼるようです。 また、認知症の人は、薬を飲んでいなくとも「飲んでます」と言うことがあります。

自宅の中のことは把握しづらいですが、薬を飲めているかどうか介入したほうがいいでしょう。

③本人の環境を調整する

BPSDに薬の悪影響の可能性がなければ、それは環境・人に問題があるかもしれません。

介護職として、本人のケアをどうしていくのか、最も重要な点であり、介護職の力が試されます。

無駄な診断・無駄な薬をなくし、きちんとした服薬管理ができ、適切な対応が出来れば、介護者の負担はぐっと軽くなります。

また、身体的・精神的負担だけでなく、医療費など経済的負担も減ることになります。

医師・看護師・薬剤師など他の専門職の領域に踏み込むことを恐れず、連携しながら学び合うことが必要となります。

本の内容は、多剤併用以外にも、向精神薬乱用・認知症の症状や治療・BPSDの対応方法などが取り上げられています。

事例もいくつかあげられていますが、高瀬先生の優しい人柄や熱意も垣間見えるので、介護職として学ぶべきものがぎっしり詰まった1冊です。

執筆者

田中義望

デイサービスたのし~む。百合ヶ丘管理者

東京海洋大学卒業後、大手介護企業にて認知症対応のグループホームにて介護士として勤めた後、現在の企業に転職。

若手介護士向けに交流会や勉強会の主宰、執筆活動を行ってる。

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